高齢化対策の移民受け入れをしてはいけない理由

僕は、日本が今、高齢化に突き進んでいるのに移民を受け入れに失敗しているのは、望ましいことだと考えている。
その理由は、治安の悪化や、日本の乗っ取りを恐れたものではない。
http://www.flickr.com/photos/7409083@N03/5096894782
photo by Minnesota Historical Society

理由はただ一つ、世界中が高齢化して、近いうちに移民は枯渇するからだ。
人口や高齢化予測の文献は数多あるが、例えば下記資料にまとめられている。

http://web.iss.u-tokyo.ac.jp/gov/research/asia_ch2_demography.pdf

世界の人口は100億人で頭打ちになる。そして資料にあるように、中国を筆頭にアジア各国も人口ボーナス期を終えて高齢化が始まりつつある。今世紀中頃にはその他の新興国も高齢化が進み、労働力の輸出国から輸入国になる。先進国の更なる高齢化は言うまでもない。
ナイジェリアなど、一部の国では人口爆発があるかもしれない。しかしインドや中国の数億人規模の高齢者人を支えられるだけの移民を供給できる国は出現しないだろう。
すると、移民のコストはどんどん上昇する。移民たちは最も住みやすく、もしくは優遇される一部の国に集まり、その他の国は他の策を採らざるを得なくなるだろう。従って、移民は高齢化対策の解にはならない。

ならどうすればいいか。
高齢社会に突き進み、もう一つの解を見つけるしかない。
高齢者だらけの社会で、持続可能な方法を見つけるしかない。
漠然とそんなことを考えていた中、見つけたのがこの記事。

イノベーティブな若者たち、介護業界に続々と集結中 新たなアイデアでますます成長産業に:JBpress(日本ビジネスプレス)

この記事には、例えば以下のような技術や専門性を武器に介護の概念を変える若者たちの活躍が描かれている。

お年寄りの介護を行う上で、重要となる排泄の補助。その対策として、排泄を匂いで検知するシート「Lifilm(リフィルム)」の開発が進んでいる。

 「Lifilm」を使用すると、お年寄り一人ひとりの排泄リズムを自動で把握し、確実に排泄されているタイミングでのおむつ交換や、排泄前に声かけしてトイレ誘導することができるという。お年寄りと介護者の双方を助ける装置として期待される。

 「Lifilm」を開発したのは、当時、千葉工業大学の学生だった宇井吉美さん。彼女は在学中に、介護支援を目的とした機器やロボットの開発プロジェクト「aba(アバ)」を立ち上げた。その中で介護現場に足を運び、働く人たちのニーズを汲み取っていったという。

目の付け所と行動力がすごい。。周りの理系に介護に興味を持って、しかも何かを作り上げるような人はいなかった。
そして、そのようにして作られる介護のシステムを、今後高齢化する世界に輸出するビジョンが語られている。

 「介護福祉の先進国としてよく挙げられるのはスウェーデンですが、日本はここ20年でスウェーデンを超えるほど高齢化が進んで世界最速の最高齢国になりました。このような急激な高齢化は、中国や韓国などの近隣国でも続くと考えられています。ということは、日本が今作り上げている介護福祉モデルや福祉機器が、いずれはアジアで大きな価値を持つということです」(同)

もしも日本で本格的な移民受け入れが実施されてしまうと、安い労働力が日本に大量に入ってきて、上記のようなシステム作りへのインセンティブが失われてしまう。それを避けるためにも、日本は移民受け入れは進めず、介護については単純な人件費に対する補助金に終始せず、技術、システム開発の投資に対する補助を充実させるべきだと考える。

そして、避けられない世界一の高齢化に向け、自分たちも動かないといけない。