3Dプリンタで安全な食器を作るために最低限押さえたい3つのポイント

3Dプリンタの物作りは、とても楽しいです。そして便利です。

ただ人の口に触れる物作りは、時に命に関わるため、慎重になる必要があります。 正しい知識を持たない3Dプリンタユーザーが増えると、いつか大変なことが起きる恐れがあります。

日本にはあまり情報がなかったので、海外サイトの情報を調べて、それを元に自分でも少し調べたり試した情報を共有します。

Toxic

海外の情報

まず、英語サイトですが、基本的な内容がまとめられているサイトがあったので、紹介します。

pinshape.com

all3dp.com

概要をまとめると、気をつけるべきなのは以下の3つだそうです。

1. プリント物にできる隙間におけるバクテリアの繁殖

  • 複数回使うものは、隙間をなくすかよく洗う必要あり。
  • PLAを始め食洗機では洗うと変形してしまうものが多い。
  • 食品安全性を確保した樹脂で表面をコートするといい。
  • もしくは、使用後すぐに温かいお湯と抗菌洗剤で洗うといい。

2. フィラメント中の有毒物質の溶け出し

  • ABSは一般に食品に触れると危険と見なされる。
  • PLAは一般に安全と見なされるが、色材や添加物が安全とは限らない。製造者に確認必要。
  • リスクを減らすには、食品に触れる時間を出来るだけ減らすといい。

3. 3Dプリンター中の有毒物質の溶け出し

  • ノズルは真鍮製だと有毒な鉛が含まれる(実際溶け出すかは不明確)
  • エクストルーダ(押し出しギア)もフィラメントに食い込むので注意

1はどちらかというと3Dプリンタ特有のリスク、2.3.は一般的なプラスチック製品についても言えることですね。

もう少し詳細な対策内容など、詳細は本文を読んでみてください。 続いて、自分が調べたり試した情報をいくつか追記しようと思います。

自分での検討した内容

1. プリント物にできる隙間でバクテリアが繁殖

せっかく手軽に出来る3Dプリントなのに、表面のコーティング工程が入ると面倒になるので、うちには食洗機があることから、食洗機に耐えられるフィラメントを探すことにしました。

ただし現状、食洗機で使えるものが見つかっていません。Taulman Alloy910や、Colorfabb nGenフィラメントなど、高温対応とされているフィラメントをいくつか試してみましたが、写真のようなクッキー型では、剛性の低い部分が、食洗機の熱と水圧で少しずつ歪んでしまったり、柔らかくなってしまうなどして、なかなか簡単ではなさそうです。継続的に探索します。

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ちなみに、高温に耐えられるフィラメントでプリントをするには、250℃以上のノズル温度が求められることがあるので、3Dプリンタを選ぶときも、ノズル温度を270℃から、300℃くらいまで上げられるものにした方がいいと思います。(ちなみにCEL Roboxは300℃)

2. フィラメントの有毒物質が溶け出す

 "FDA food contact compliance"で検索すると、いろいろ出てきます。ただし、カラーについてもFDA認証を取っていると明示しているものは少ないです。10社くらいののWebサイトを見る限りでは、安全性については、Taulman3Dが、かなり力を入れているように見えます。カラーについても色ごとにFDA認証有無を明記しています。また、通常の食品接触基準だけでなく、医療グレードの認証を取っているフィラメントもあるようです。

taulman3D - Home

3. 3Dプリンターの有毒物質が溶け出す

購入前に確認しましたが、CEL Roboxは上記の安全なプリンタに該当するそうです。最新ロットではノズルはステンレス、エクストルーダは鉄製、その他本体機構はPCなので、food safeであるとのことです。(PCというのが少し気になりますが、加熱したり濡れることはない場所なので大丈夫でしょう)

http://taulman3d.com/index.html

4. 最終的には・・・

何社かに問い合わせをする中でも言われましたが、結局安全かどうかは、プリントした最終生成物で確認してほしいとのことでした。試験法は複雑そうですが、そのうち、試験方法を調べて、どこかに試験を依頼してみたいです。 詳しいか違いましたら、コメントをいただけるとうれしいです。