ディズニーとAppleはネット販売フローのわかりやすさが違う。

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photo by andy castro

ディズニーのわかりやすさは世界一!?

こんにちは、去年からディズニー信者になりました、@medakamasterです。

正確には昨年秋、ディズニーのチケットをネットで買ったときから信者になりました。

初めての人がアカウントを取得してチケットを買う、ただそれだけで普通のネットショップと明らかな差がありました。

ディズニーのサイトでは購入フローが作り込まれていて、チケット購入だけでちょっと感動しました。

私はちょうど同時期に、AppleのiPadも購入したのですが、明らかにディズニーの方がよく考えられていました。

Appleはこんな本を出されたり、

アップル 驚異のエクスペリエンス

アップル 驚異のエクスペリエンス

幼児に製品を触らせて直感的に使えることをテストするともいわれていますが、ディズニーはそれよりわかりやすいです。



ディズニー信者の戯言と感じますか?

では、具体的に違いを説明してみます。


ディズニーのチケット販売フローは、迷いません

ディズニーのチケット購入フローは、とにかく迷いませんでした。
初めての人が、欲しいチケットを選んで買うことだけに集中できます。

そのために随所に工夫がちりばめられています。


必要な情報だけが表示される!

1画面の情報量が必要最小限で、目移りしません。
そして、特に重要な情報はポップアップによって、さらに大きな文字、少ない情報量で示されます。

例えば購入フローの初期でこんな画面が出てきます。

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ここでは購入に必要な条件が大きくポップアップされています。

さらに背景がぼかされ、視線は否応なくポップアップに向きます。

注意事項も、次へのボタンも見落としようがありません。


ちなみに購入確定前の最終確認も、ポップアップです。

そのとき、確認事項の1項目ごとにチェックボックスが付いていて、1つ1つチェックを入れると、自然と全ての確認事項が目に入ります。

読み飛ばされがちな注意事項をどうすれば読んでもらえて、トラブルを減らせるかを考えているのでしょう。


文字入力で迷わない

このサイトでは、必要に応じて日本語入力が自動ON/OFFになります。

そして、読み仮名入力が、カタカナじゃなくひらがな入力です。

このあたりは些細な工夫ですが、きちんと徹底しているサイトはありません。

(ここから愚痴)
そもそも、なぜ一般に読みがな入力はカタカナなのか。手書き時代なら、画数が少ないカタカナにする利点はあるでしょう。でもPCでのカタカナ入力はひらがなより面倒です。しかもカタカナを変換すると、別の機会で名前を漢字変換しようとするとまずカタカナが出てくる・・・時間差ストレス。読みがな入力がひらがななら、上記は全て解決できます。個人的に、カタカナ入力は人や組織の思考停止が生み出すものの好例だと考えています。
(愚痴終了)


キャンペーンがあったら教えてくれる

買う前に、予定日近くにキャンペーンがあったら教えてくれます。
買う前にキャンペーンを探す手間が省けたり、後からお得なキャンペーンを知って悔しがることもありません。



ディズニーのサイトは、新しい技術は使っていません。...たぶん。
どちらかというと古い技術であるFLASHメインで構成されているサイトです。
でも、迷わないインターフェイスについて、彼らは本気で考えて作り込んでいると感じました。

こういう思いが伝わるサイトは個人的に大好きです。



iPadを買うフローは、時々迷います

では、次にAppleのサイトiPadを購入するケースを追います。

ボタンを見失うことがある

まずappleのサイトで iPadをクリックすると、商品説明のページに飛びます。

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このページは、かっこいいです。

無駄な情報は画面から消え、製品の魅力にフォーカスできます。すぐに買いたくなります。

でも、製品の魅力を辿って下にどれだけスクロールしても、購入ボタンは出てきません。購入ボタンは右上に小さく1つだけあるのみ。

そのため最後まで説明を読んでから「買いたい!」と思った人は、一瞬ですが購入ボタンを探して画面全体に視線を動かすことになります。


画面に不要な情報が表示される

次に、購入画面について。

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購入画面では、先ほどのシンプルな画面と打って変わって、Mac、App、iPadminiなど他分野他の商品が画面上にずらっと並んでいます。

iPadの魅力を感じた人に、Appleはなぜか別製品の選択肢を提供しています。

何らかの根拠に基づいて他機種の提案をしてくれるならわかりますが、ただ情報がたくさん出ているだけだと、顧客は迷ってしまいます。


更に悪いことに、画面がごちゃごちゃしていると、顧客は情報を見落としてしまいます。

例えば上の画像では、iPadのカラーと容量を選ぶと、画面右に緑の「選択」ボタンが出現し、これが次のページへのボタンになります。

しかしこの画面構成だと、ボタンの出現を見落として、画面内を探す人も出てくるはずです。

こんな感じで、Appleサイトは時々、視点の行き先、注意を向ける先に迷うことがありました。



ディズニーとアップルの企業文化の違い

今回のような差は、2社の歴史、企業文化の違いから来るのかなと思います。

ディズニーは新しい技術を積極的に取り込むことに長けているとはいわれますが、総合エンターテインメント企業です。

国、民族、世代を超えた幅広い層に普遍的に商品を供給し、誰もが楽しめるものを作ってきました。

ディズニーの巨大な世界を細部まで作り上げたディズニーランドは、ディズニー最高の商品です。

その結果として得た、隅から隅までを、幅広い層に対応できるように作り込む力は、ディズニーの方が上と感じます。


一方でAppleは、ユーザーエクスペリエンス、人々をわくわくさせる会社ではありますが、ハイテク企業です。

複数の新技術を組み合わせて、iPhone、iPadなど今まで存在しなかったジャンルの商品を作り出しました。

そして、それらが絡みあう複雑で巨大なエコシステムを、使いやすいシンプルな形で提供する力を持っています。

その結果、Appleは今までになかったものを使いやすく仕上げるバランスは特出していると感じますが、

その商品は時々、ITリテラシーに乏しい人には混乱をもたらすこともあります。
※もちろん、ハイテク業界の競合他社のサイトよりはわかりやすいです。



個人的にはどっちも好きなので、今後も楽しくウォッチしていこうと思っています。

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